共働き家庭のための「死亡保障」の最適な考え方


近年、共働き世帯の増加に伴い、夫婦の**死亡保障(生命保険)**に対する考え方も大きく変わってきています。「夫が主たる収入源だから、妻の保障は不要」という考え方は、現代のライフスタイルには当てはまらなくなっています。

共働き家庭では、夫婦のどちらか一方に万が一のことがあった場合、**「収入の減少」「支出の増加」**という二重の経済的リスクに直面します。

ここでは、共働き家庭が死亡保障を検討する際に抑えるべき**「3つの基本と最適な保険の選び方」**を解説します。


1. 共働き家庭における死亡保障の基本原則

共働き家庭の死亡保障は、**「失われる収入の割合」「残される家族の負担」**のバランスを見て設計することが重要です。

原則① 夫婦どちらにも「保障は必要」

夫婦どちらの収入も家計を支えている以上、どちらに万が一のことがあっても、残された家族の生活に影響が出ます。

  • 夫(妻)の死亡時: 収入が減るだけでなく、残された妻(夫)は子育てや家事を一人で担うことになります。仕事の時間を減らしたり、家事代行サービスやシッターなどを利用したりすれば、支出が増加します。

  • 妻(夫)の死亡時: 収入が減ることに加え、これまで妻(夫)が担っていた家事・育児・介護の労働価値(アウトソース費用)を補填する必要があります。特に子どもが小さい家庭では、この**「家事・育児の対価」**の保障が重要になります。

原則② 必要保障額は「片働き家庭より少ない」場合が多い

共働き家庭の場合、遺された配偶者(夫または妻)に収入があるため、片働き(専業主婦家庭)の世帯主に万が一のことがあった場合と比べて、トータルで必要な保障額は少なく済む傾向があります。

これは、残された配偶者の収入と、遺族年金などの公的保障で、生活費の不足分をかなりカバーできるからです。

原則③ 住宅ローンの「団信」を考慮する

住宅ローンを組んでいる場合、多くは**団体信用生命保険(団信)**に加入しています。夫婦のどちらか(主債務者)に万が一のことがあった場合、残りの住宅ローン残高がゼロになります。

  • この「団信によるローンの完済」によって、**死亡保障の必要額は大きく減ります。**すでに加入している保険を見直し、住宅ローン完済後の生活に必要な額だけを残すことで、毎月の保険料を大幅に削減できる可能性があります。


2. 死亡保障の「必要額」を算定する方法

具体的にいくらの保障が必要かを把握するためには、**「必要保障額=将来の支出見込額 − 将来の収入見込額」**という計算の考え方を採用しましょう。

STEP1:将来の支出見込額(残された家族が困るお金)を計算

  1. 生活費: 残された家族の生活費。子どもが独立するまで(生活費の70%程度)、独立後(生活費の50%程度)を想定。

  2. 教育費: 子どもの進路(公立・私立、大学進学、留学など)を考慮した学費の不足分。

  3. 住居費: 住宅ローンが団信で完済しない場合のローン残高、または賃貸の場合の家賃。

  4. その他: 葬儀費用、死亡整理資金など。

  5. 家事・育児の対価(重要!): 亡くなった配偶者(特に家事・育児を担っていた側)の家事・育児・介護のアウトソース費用(ベビーシッター、家事代行など)を、子どもが独立するまでの期間で見積もる。

STEP2:将来の収入見込額(残された家族が得られるお金)を計算

  1. 配偶者の収入: 遺された配偶者が将来にわたって得られる勤労収入の合計。

  2. 公的保障(遺族年金): 遺族基礎年金、遺族厚生年金など、国から受け取れる年金額。

  3. 貯蓄・資産: 現在の預貯金、有価証券、退職金、すでに加入している保険の保険金など。

STEP3:不足分を「保険」で補う

  • 必要保障額 = STEP1(支出) − STEP2(収入)

この不足分を、生命保険でカバーできるように設定すれば、保険に入りすぎるムダを防ぐことができます。


3. 共働き家庭に最適な保険の種類と選び方

共働き家庭のように、子どもが独立するまでの一定期間だけ高額な保障が必要なケースでは、「掛け捨て型」の保険で保険料を抑え、資産運用や貯蓄に回すのが賢明です。

最適な保険は「収入保障保険」

共働き家庭の死亡保障のメインとして最も推奨されるのが、収入保障保険です。

  • 保険金が年々減少: 保険金が毎月のお給料のように年金形式で支払われ、時間が経つにつれて(子どもの成長に伴って)保障額が減っていく仕組みです。

  • メリット: 子どもの独立とともに必要な保障額が減るというライフステージの変化にフィットしており、保険料が定期保険よりも安く抑えられる傾向があります。

夫婦それぞれに「必要な額」を分散して加入

夫と妻でそれぞれが稼ぐ収入や、担っている家事・育児の役割に応じて、個別に必要保障額を算定し、保険に加入しましょう。

夫婦の役割分担死亡保障の考え方
収入・家事負担がほぼ同等夫婦ほぼ同額の「収入保障保険」に加入する。
夫の収入割合が圧倒的に高いは生活費と教育費を手厚く、は主に家事・育児の対価(アウトソース費用)と葬儀費用をカバーする額とする。

死亡保障は「家族への愛のカタチ」とも言われます。夫婦でしっかりと話し合い、「もしものとき、残された家族が経済的に困窮しない」最低限のラインを保障でカバーし、残りは貯蓄や資産運用に回すことで、賢く家計を守りましょう。

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